乗馬レッスン

 いつものように、暗いうちから目が覚め、だんだん明るくなっていく空を眺めていた。小鳥の声が、清々しい。
 早朝から、馬術部の女子高生が、数日後にある競技のために、練習に来ていた。何年に一人の逸材で、その分、求められるレベルも高い。厳しく指導されているけど、必死に食らいついていた。時間のない中、ちょっとした移動はすべて駆け足で、テキパキと動いていて、感心した。
 すべてを片付け、冷水シャワーで汗を流して、登校して行った。頑張って!
 
 彼女が、T君の指導を受ける。
 まずは、馬の振動に慣れ、騎乗でバランスを保つ練習だ。
 慣れたら、軽速歩の練習だ。
 たぶん、乗馬を始めた人が、最初に当たる壁かな? 馬が速歩するときの、タンタンタン・・・という振動を、一つ置きに腰を浮かすことで、馬体からの衝撃を減らすのだ。口で言うのは簡単だけど、揺れる馬体の上で、規則正しく立ち上がるのは、意外に難しい。ちなみに、俺は軽速歩を習ったことは無く、いきなり腰を柔らかくして、座ったまま反動を抜くことを教わった。練習相手が、反動の少ないポパイだったこともあり上手くいったけど、だからこそ軽速歩が出来るようになったのは、かなり後になってからだった。
 一流の指導者に、基本から教えてもらえたので、きっと早く上達するだろう。
 
 蕎麦を食べて、帰路につく。ホームセンターで、買わなければならない物がいろいろあったのだけど、中古屋さんに寄った。靴売り場の、ウエスタンブーツのコーナーに行く。
 俺の足は、甲高幅広であるために、なかなか合うブーツが無いのだ。それでも、諦めずにここに来ている。何足か履いてみたら、片方しか置いていないブーツなのだが、スポッと入った。ちょっときつめだけど、どこも当たらず、ぴったりだ。
 こういうブーツは、中敷きを敷きたいから、ピッタリだと困るのだけど、今まで履けるブーツが無かったおかげで、つい心が動いてしまった。もう片方も店員さんに探してきてもらい、買ってしまった。