ほ乳な日々

 哺乳ロボットに、子牛を吸い付かせるのも、俺の大切な仕事である。
 覚えの良い子牛は、一度ですぐに吸い付けるようになるけど、頑固な子牛は初っぱなの吸い付かせから、難航する。基本的には、健康でお腹を空かせている事が、学習の条件のような気がする。
 かえでは、あおいと同じ日に生まれたのだから、もう哺乳ロボットに吸い付かせる日令に達しているけど、身体の力が弱く、ミルクを飲む量も少ない。このまま哺乳ロボットに任せても、ちゃんと吸えるとは思えないので、ほ乳瓶で育てる事にした。
 弱々しいかえでだけど、最近はお腹空いたとねだれるようにもなり、元気になってきつつある。セレン製剤を獣医さんに頼んでいるのだけれど、今まで使ったことが無いから判らないらしい。
 北海道では、生まれてすぐに注射するのが常識だったし、鉱塩もセレン入りの物を使うのが、繁殖農家の基本と思っていた。こちらに来て、セレン入りの鉱塩を知っている人が少ないから、土壌にセレンが豊富で、必要無いのかと何となく信じていたのだけれど・・・。
 
 お昼には、ボタンボウフウの天ぷらうどんにした。調子に乗って揚げすぎてしまった。