起き上がろうとしたら、またグキッといってしまった。寝ている間に治まっていた痛みは、またぶり返してしまった。本来休みのK君が、朝の牛舎作業をしてくれた。
 12日に、超早期母子分離した一恵太郎は、連日脱走して母に会いに行く。そして、器用に飼槽や柵を乗り越えて、母親の部屋に入り込み、おっぱいをたっぷり飲んでいる。
 北海道にいる頃から、俺の牛舎は柵が完全では無い。
「火事の時でも、子牛が焼け死なないよう、死にものぐるいになったら突破できるような柵なんだ!」
とうそぶいていたけど・・・。実際、北海道では冬になると、家事で豚舎が焼けて、豚が焼け死んだ話しとかをよく聞いていた。暖房用のライトやシートが原因で、出火しやすいのだ。可愛がってきた子牛が焼け死んだら、経済的ダメージと合わせて、きっと立ち直れないだろう? だから、俺の牛舎は柵が破れるようになっていたのだ(^_^;)
 だけど、連日母親の母乳を吸ってしまった一恵太郎は、ほ乳瓶の代用乳を飲まなくなってしまった。こうなると、やっかいである。久美太郎のように、どんなに絶食してお腹を空かせても、断じてほ乳瓶を受け付けなくなってしまう頑固な子牛もいる(珍しいけど)。
 
 シダーを抜き、PGを注射したなつしげに、種付けをした。なつしげは、腹腔内が狭く、内診していても親指を広げることが出来ず、卵巣を探すのが大変だった。そしてやっと見つけた卵巣は、小豆大の小さなモノだった。困ったなぁ! 留まってくれないと・・・。