風が強く、今日の船は欠航した。今日来るはずだった役場の人は、当然来ることが出来なかった。出荷牛の3月出荷牛を、体側して決定したり、人工授精証明書の提出に関して、いろいろ指導してもらうことになっていた。来るのが遅くなって、締め切りギリギリになった時、間違いが見つかったとして間に合うのか、ちょっと不安である。
 
 牛舎に行ったら、ミルクを飲みたくて駆け寄ってくるはずの和五郎が、やけに大人しい。
 観察してみると、床にミルクのような下痢があった。
「ロタか? 消化不良か?」
判断に苦しむところだけど、全く飲めなかったので、一食抜いてみた。脱げかかっていた牛衣は、ちゃんと着せ替えてやった。体力が落ちているとき、この牛衣は俄然威力を発揮する。立ち直り方が、全然違うようの感じるのだ。
 
 夕方には、和五郎はすっかり元気になり、ミルクをくれって鳴いていた。ただの消化不良だ。