和五郎誕生 うどんの謎

 三人で作業して、牧場はだいぶ綺麗になって来た。ロールを草架に運んだから、放牧地の牛達も満足してくれていると思う。
 
 K君がお気に入りの牛、かずえ(第一花国)が、朝から苦しそうだと報告を受けていた。
 牛温恵を入れてから、ちょっと異物感を訴えていたカズエだったので、入れ方が下手だったのかも知れないと思って、センサーを抜き取った。
 その後、他の作業をしていたら、『風船が膨らんでいます!』と言うメールが届いた。風船? 何のことかと思ったら、足胞が出てきたようだった。
 ここまで出たら、心配ない! K君に任せて、俺はハマボウフウを採りに行った。客人が、どうしても食べたいと五月蠅いのだ。
 採っていたら、生まれたという報告が入った。元気なオスだった。和五郎。寒そうだったので、チョッキを着せた。
 
 K君を、昼飯に誘った。メニューは、昨日と同じ天ぷらうどんだ。
 昨日の教訓を生かし、俺は三人で三袋で充分だと主張したけど、『K君は若いから四袋の方が良い!』と言う友人の強い意見に負けて、茹でてしまった。出来た量は、ハンパではない。このうどんの四人前は、どうなっているんだろう? 食べながら、やったり食べきれずに考えた。
 箱を見てみた。虫眼鏡でしか見えないような小さな字で、一袋三人前と書かれてあった。
 ・・・
 俺たちは、四人前だと信じたまま、十二人前を食べようとしていたらしい。一気に戦意を喪失し、残ったうどんは持ち帰ってもらったのだ。
 今日の教訓
『箱の説明は、ちゃんと読みましょう!』