鍵を忘れた

今回、帰島した最大の目的は、運動会のお弁当を作る時間を、従業員さんに確保させる為、朝牛舎を俺がすることだった。俺は、朝の船で鹿児島に戻らなければならないから、活動時間は限られている。早起きして、作業開始した。
 牛舎に行くと、壱太郎が脱走して隣の部屋に入っていた。困ったなと思いつつ、まずはほ乳ロボットにアメリ垂乳根太郎を吸い付かせる。垂乳根太郎は、体はでかいのだが、こういう理解力はあまり無さそうだった。かなり手こずる。
 先ほど隣の部屋にいたはずの壱太郎が、さらに脱走して消えていた。捜索したら、母親の方に歩いていた。ミルクを作って吸わせたら、一口目から力強く吸った。そして、ゆっくりだがほ乳瓶で部屋の方向に誘うことが出来た。
 やるべき作業をしていたが、最初の段階で時間を取られたため、時間が足りなくなった。だから、弁当作りが終わった従業員さんに応援を頼み、餌食いの悪い部屋の子牛を、一斉治療した。病気の治療は、早期発見早期治療が基本なのだ。まだ、下痢をしていない子牛も、捕まえてみたら耳が熱かった。治療したおかげで、夕方には食欲が戻り、おかわりを要求するようになったらしい。
 とりあえず、時間内に予定していた作業を終え、シャワーを浴びる間もなく、服だけ着替えて船に乗り込んだ。朝、作業つなぎを軽トラに乗せたのだが、ユニックに乗り換えたため、作業つなぎには着替えられなかった。だから、Gパンを汚して着替えてしまった。
 結果として、ポケットに車の鍵を忘れてしまい、面倒なことになってしまった。
 船が入港する前からJAFに電話して、まず鍵を開けてもらった。代車の中に置いてあった鍵は、スペアキーではなかった。仕方なく、鍵屋さんをよんで作ってもらった。12000円もかかるんだね。
 車屋に行って、ハイラックスを受け取る。修理代20000円。
 その足で、伊集院の鹿児島中央市場に行き、子牛たちの世話をした。はな垂れは治っていた。
 
 ホテルに帰り、靴を買いに行った。二足迷っていたのだが、靴の消耗が激しいのなら、履き回しした方が長持ちすると言われ、二足とも買ってしまった。財布は、さらに軽くなったのだ。
 山形屋の地下に行くと、俺は目移りしてなかなか離れられなくなってしまう。
 焼き鳥屋に行って、久しぶりに外飲みした。一人で飲んでも、あまり楽しくないのだが・・・。
 大ジョッキ一杯でできあがった俺は、ホテルに帰ったら倒れるように眠ってしまい、起きたら11時だった。何となくつけたテレビはNHK教育で、日食観察のことをやっていて、つい面白くて魅入ってしまった。