雷の害

 やっぱり起こってしまった。
 二段階のポンプのうち、片方がタイムスイッチで6時10分に動き始めるから、他方のスイッチを俺が6時5分から6時10分の間に入れなければならない。これは、かなりのプレッシャーだ。スイッチを入れ忘れても、水位が下がると自動的に止まるといっていたが、その機能は働いていなかった。
 今朝は、5時半に起床したが、食欲が無くて朝飯を食えなかった。3日連続というのは、俺の人生で初かもしれない。だるくてベッドに倒れたら、そのまま二度寝してしまい、起きたら6時半!!慌てて下のスイッチを入れ、中間ポンプのところに行ったら、タンクは空で、モーターは空転していた。
 手動に切り替え、1号ポンプで揚水した。ついでにプログラムを切り替え、中間タンクの水が、常に満水に近くなるようにセットした。多少の寝坊なら、これでカバーできるはずだ。

 昨日超早期母子分離した姫次郎は、たった一回しか人工ほ乳していないのに、俺の顔を見て近寄ってきてミルクをせがんだ。子牛はすぐに覚えるものだが、これほど覚えが良いのも珍しい。
 朝のうちは、それほど大雨では無かったのだが、見回りをしている間に土砂降りになってきた。車の外に出ると、一瞬でずぶ濡れになる大雨だ。雷も凄まじく、傘を差して歩くのが怖いほどだ。仕事を断念して家に帰るが、犬たちを車から降ろすのも躊躇された。
 部屋に入ると、外の嵐はその勢いを増した。かなりの雷が落ちたようだ。これだけ雷が落ちると、家電がだいぶ壊れたと思う。
 ゴロウとカイトは、雷が鳴ると俺の側に寄ってくる。フユは、怒って吠える。

 手動で入れたポンプを止めに、ポンプ小屋に行った。ところが、動いているはずのポンプは止まっていた。ブレーカーが落ちたのかと思ったが、調べると落ちていなかった。だが、コントロールパネルは、死んでいた。手動スイッチさえ入れることが出来なくなった。この基盤は、40万円以上のお金をかけて、新しいものに代えたばかりのはずだ。明日の船で、専門家が来てくれる事になった。