子牛たちの成長

 ジャンベ留学生は、集落の除草などの仕事が入り、お手伝いはできなくなったらしい。
 お嬢様牛のみずほ(百合茂←勝忠平←忠福)は、相変わらずとても人懐っこい。でも、牛にもだいぶ慣れてきて、セナ(百合茂)という友達もできた。セナは、みずほが大好きで、餌を食べるときも休んでいるときも、ストーカーのようにぴったりみずほに寄り添っている。
 この牛の群れに人が入ると、みずほがまっすぐ人に向かって近寄ってきて、他の3頭は何となく距離をとる。体をすり寄せるみずほだが、ついでに足もしっかり踏んでいたりする。

 引っ越し作業をした。
 元十郎、登太郎、御雪太郎を、通路を挟んだ反対側の部屋に連れて行った。ここはえさ箱の形が悪く、子牛には食べにくい。牛はぐうたらで、食べにくいと食べるのをあきらめるのだ。こちら側に移動すると、2割は摂食料が減るが、電柱牛舎の牛が大きくなりすぎて、どうしても移動させないと駄目なのだ。
 元十郎は、一度死にかけていて、その影響で前半はあまり大きくなかった。でも、モトツボの性質を受け継ぎ、旺盛な食欲で立派な牛になった。性格も温厚で、初めてロープで引っ張ったのに、驚くほど素直に引かれてくれた。
 大牛舎の子牛たちは、一つずつ部屋をずれ、空いた部屋には春幸太郎、秋姫太郎、貴太郎、和恵太郎を、電柱牛舎から引っ越しさせた。