テレビは、地震津波原発の被害状況を、延々と流し続けている。壊滅的な状況の中、被害者がとても忍耐強く我慢しておられる。世界的に見て、災害に便乗した強盗や、支援物資についての争いがほとんど無いのは、日本くらいらしい。同じ国民として、誇りに思う。

 津波警報が解除され、村営船みしまが鹿児島港を出港した。俺の買った後継牛が、一日遅れでやってくる。きっと腹を空かせているから、速やかな受け入れが出来るよう、準備をした。
 まず、しげことあいこを、牛舎から出した。しげこは脱柵常習者で、たぶん小屋下に放したら、すぐに帰ってくるだろう。アルバイトの女の子と一緒に、飛行場の先の黒島崎放牧地に連れて行った。
 ちなみに、しげこの息子茂子太郎も、脱走名人で、いつも出歩いてはいつの間にか部屋に帰っている。蛙の子は蛙。

 もうすぐ二歳になるソックスは、そろそろサドルブレーキング(サドル調教)をしなければならない。丸馬場のない硫黄島で、どうやって調教するか?
 丸馬場を、作ってしまうという方法もあるが、今考えているのは、徐々に背中に荷物を背負わせ、調馬索を用いた調教はどうだろうということだ。ちょっと、調べてみなければならない。
 牛を見回りに行ったとき、採草地に沢山生えていたハマボウフウの新芽を採集した。昼飯は、ハマボウフウの天ぷら蕎麦を作った。新芽だけを集めたのだが、アクが全く無く、ほんわかと美味しかった。もしかしたら、もうちょっと大きくなった葉も入れた方が、味があったかも知れない。
 港に、牛を引き取りに行った。一日港で足止めを食っていた二頭だが、暑い時期ではないので、元気だった。二頭とも、とても人懐っこかった。