船が来た

 朝牛舎に行くと、子牛が生まれていた。母親は、子牛にピッタリ寄り添い、『守ってる!』って感じがして良かった。名前は、『こはる』になった。母親の初乳を飲んだ証拠である胎便が出ていたのだが、保険として人口初乳も一袋飲ませた。
 北海道と違い、夜中に生まれても凍死する危険は少ないのだが、難産だったときのために、出産に立ち会えた方が良いに決まっている。
 昼間生まれる確率を上げるために、昼間絶食をしているが、日中分娩の成功率は80%程度だ。
 以前、牛温恵という、分娩監視通報システムを買わないかという話しが出たことがある。当時は、北海道で黒毛を飼っていて、牛舎には監視カメラが設置されていた。夜中に目を醒まして、枕元のモニターを観れば、出産状況が直ぐに判っていた。今はそれさえもないのだ。
 お産直前に体温が低下するので、それをメールで知らせてくれる。さらに、破水などや、難産で苦しんでいる事などが、いちいち通報されるので、お産の事故を減らすことが出来る。
 規模がこれだけでかくなったので、お産の事故を減らすための投資をしても、損ではないと思い始めていたりする。

 東風の日は、硫黄の匂いがする。この島に来た当初は、ちょっと気になったが、今ではほとんど気がつかない。でも、今日はちょっと気になった。
 一週間ぶりに船が来て、いろんなモノを持ってきてくれた。お肉屋さんから、和牛や豚バラブロック。機械屋さんから、ロールベーラーの部品。DELLからパソコンの周辺機器。雑貨宅配屋さんから、ティッシュとドリップパックのコーヒー。そして、共同機械のミニホイルローダー。牛用のビタミン剤と生菌製剤。

 全部、ホイルローダーのバケットに入れて、牛舎に運んだ。
 小さいから、エンジンは非力だ。小型特殊なので、普通免許で乗れるから、使える人が増えるかな?

 連動スタンチョン前は、連日の雨で水が溜まって泥沼状態だ。牛も泥濘が深くて、歩きにくい上に、スタンチョンから出るのに苦労している。
 スコップで、水路を作ってやった。一時的に水は流れたんだけど、ぬかるんだ泥は流れない。何日か晴れたら、堅くなるんだけど・・・。コンクリートを敷きたい。ダメなら、採石でも・・・。