人懐っこい牛

 晴れ間が見えたが、今日も風が強かった。それでも、乾かして収穫しなければ、とても邪魔な存在になる。機械を壊す危険があったが、風上に向かってテッターをかけてみた。大きな草の固まりは、ときどきテッターの手に負えなかった。本当は2回くらいかけたかったが、乾いた片っ端から飛んでいくので、断念した。
 セナとりんとその母親達を、小屋下放牧地に出した。りん親子は、母親がとても世話が上手く、りんははぐれないでついて行けた。だが、セナは足が速くて、鉄砲玉のようだ。誘導しても、あらぬ方向に走って逃げてしまった。
 空いた部屋には、育成牛のモトツボクミコと、初産のハルカを入れた。クミコは、子牛の頃からとても人懐っこく、オモテだけで馬並みに軽々引くことが出来る。

 ふくまるという名の子牛が居る。父親は百合茂で、出来れば残したいと思っている。この子も、生まれつきとても人懐っこく、しぐさも可愛い。まるで、小さかった頃のモトツボクミコのようだ。離乳子牛にエサをやるために近づくと、早く欲しいと後ろをついて回り、堂々と盗み食いする。