ロールベイラーの旅立ち

 良い乾草に仕上がっていたんだけどなぁ。ロールベーラーが壊れてしまい、たった15個しか丸められなかった。
 倉庫には、ほとんど使われないまま、9年間眠っていたロールベーラーもあった。機械は、使っていないとダメになる物だ。亜硫酸ガスが多いこの島では、特にそうである。何とか使えない物かと、説明書を読んで始動してみたが、異音が凄い。各所に油を差し、いざ草地に行ってみたが、草を吸い込ませると、機械が身もだえし始めたので、やむなく作業中止。
 この機械は、普段使っているロールの3〜4倍の重さのロールを丸めることが出来る。だから、集める作業も速くて楽なのだが、手で転がすような乾草庫では、重くて使い物にならない。

 夜中に降り出した雨は、朝になってもシトシト降っていた。牧草を乾しているときに降る雨は、恨めしいのだ。天気図を見ると、いつの間にか島上空に停滞前線が出来ていた。なんてこった!
 壊れたロールベイラーは、船で鹿児島に送ることにした。自分でジックリ時間をかけられたらいいのだが、急ぐのだ。運賃だけで、5万円かかる。修理費は、いくらだろう?でも、機械がないと、仕事にならない。

 雨の日は、雨の日にやるべき仕事があるのだ。牛の顔も、いつもよりじっくり観察できる。

 島では、あっちこっちで工事が行われている。光ファイバーを、各家庭に引く為の工事だ。情報過疎地の硫黄島にも、ようやく高速ブロードバンドがやってくる。
 今日は、海底ケーブルを引くための台船、明日から始まる本工事の準備をしていた。楽しみだ。