出荷

 出荷の日は、いつもより早起きして、出荷牛に餌を食べさせる。船酔いするから、食べさせない方が良いとも言うのだが、今日は波も静かなので、ちょっとでも食べさせよう。
 食後は、一頭一頭捕まえて、トレーラーに乗せていく。コジケの3頭は、神経質で捕まるのを嫌がり、捕まった後もいつまでも暴れる。こういった神経質さが、コジケの原因になっているとも考えられる。大型になる平茂勝産子は、おおらかで細かいことは気にしない。
 二往復で、6頭を運んだ。郵便局でお金をおろし、子牛の運賃と乗船券を買った。ちょっとだけ時間があったので、家に帰って朝飯を食った。
 船に乗ってしまえば、暇なのだ。気がつくと、携帯電話が使えなくなっていた。どうやら、料金を払い忘れているらしい。とりあえず、昼寝して鹿児島まで向かった。
 船の上から、携帯料金を振り込もうとしたのだが、データ通信カードの速度が遅すぎ、入港するまでに終わらなかった。
 今回、三島村の牛は20頭。それぞれの部屋に連れて行った。
 島の人で、鹿児島に車や家を持っている人が居る。俺も、毎月一週間程度滞在するので、その辺の経済を聞いてみた。
 車は、月4000円の駐車場に預け、天文館で遅くまで飲んで、サウナの椅子で寝る人も居た。普通に、ビジネスホテルに泊まる人も・・・。飲み代が、一日一万円。宿泊費が5000円。6泊・・・。相当な負担で、今の子牛価格では、完全に赤字だね。