市場二日目

 役場の宿泊施設に空きが出来たので、ホテルを引き払ってそちらに引っ越しした。台風が来ているらしく、鹿児島滞在が長引くおそれがあるらしい。安い宿泊施設は、お財布に優しいのだ。
 
 市場二日目だ。今回は、7月と8月の二ヶ月分を競るので、二日に分けたらしい。市場の処理能力は一日400頭らしく、一月の上場数は、だいたい350頭になるそうだ。
 子牛を所定の場所に繋いだ後、濡れタオルとブラシを持って、自分の牛を綺麗にしていく。削蹄鎌を購入して、伸びた蹄を切るつもりであったが、獣医さんと相談した結果、止めることになった。
 市場が始まった。今日は、5頭上場させたので、俺は休み無く牛引きをすることになる。くじ引きの結果、朝3頭、午後2頭出ることになった。
 でも、せっかく市場に来たのだから、どんな血統がいくらで取引されたのか勉強したい。そこで、牛を引きながら、アナウンスを聞いて、名簿に体重と金額を記入していった。
 今日は、昨日より値が上がっていて、キロ単価1000円を超えた牛が多かった。40万円を超える牛も、ちらほら見られた。気高×気高が高値で、百合茂に安茂勝を掛け合わせた子牛が、とても高かった。安茂勝の精液は、個人的に沢山持っているので、なかなか良い情報だ。早速使おう!
 上向いた市場の割には、俺の牛はあまり良い値段がつかなかった。土龍波(ドロンパ)は、安福久と全兄弟らしいが、今ひとつ伸びがないらしい。名前が悪いのではないか?
 子牛を10ヶ月育てる経費は、約25万円といわれている。今回8頭売った平均が30万円。乱暴な計算だが、一頭あたり5万円の利益。8頭は二ヶ月分だから、一月20万円の利益。借金返済やアルバイト代は、この中から出すことになる。・・・かなり厳しい。市場が完全正常化して、値段も適正な価格になることを祈るばかりだ。

 台風で、今日の船が欠航した。天候が回復したら、明日日帰り片道航行になるので、予定より一日早く帰れる。
 早速波予報を調べた。東よりの風の場合、三島海域は、種子島屋久島の陰になって、波が静かになる傾向がある。予報によると、最大2.5mの波なので、船は出られそうだが、NHKの発表する種子島屋久島の予報では、当然東海岸の荒れた波を予報するので、4mの波になってしまう。
 さて、船長はどちらの判断をされる事やら・・・