簡易草架

 そういえば、今年はカメムシの被害が少なかった。
 被害って・・・壁一面のカメムシとか、それが飛んできて頭に留まるとか、料理した皿に投身自殺をするとか、寝返りを打った枕に潜んでいたとか・・・いずれの場合も、趣味の悪い香水をたっぷりかけてくれる。
 なぜか、今年は少ないのだ。
 採卵プログラムのモトツボに、『勝忠平』を着けた。珍しく、若い女の獣医さんだった。本当は、明日排卵確認をして欲しいのだが、何となく言えなかった。
 妊娠牛放牧地に、修理した簡易草架を持っていった。ところが、フク以外の牛がいなかった。牧草を持っていくのが遅く、みんな脱走したのかと思い、ちょっと憂鬱になった。だが、そのうちぞろぞろ集まってきた。森の中に隠れていたのだ。