怪しい匂い

 雪四郎は、元気に鳴いていた。カスピ海ヨーグルト入りのミルクを、元気に飲み干す。他の哺乳子牛も、フードボトルに良く吸い付く。

 天気が良い日は、牛達は丘の上に集まる。居間のパソコンに向かうと、窓からよく見える。直線距離で300mほどだが、不穏な空気はここまで匂ってくるのだ!
 発情して欲しいのはカズエちゃんである。だが、双眼鏡で眺めると、カズエちゃんではない。普通の牛の尻尾はムチのようにしなるが、尻尾の先が切れているカズエちゃんは棒のようにブンブン振り回すだけだ。
 大きさとアバラや腹の感じから、発情しているのはモトツボで、相手になっているのは妊娠しているが脱走の心配があるモモカだ。出産後20日も経っていないのに2回目の発情だ。太りやすいこの2頭は、夜間摂食制限をしているが、尻尾の上がすり切れて血が出るほどいい発情をしている。


 出荷牛のブラッシングをした。今回は、頭数が多いので大変だ。相場が下がっているときに、こんなに出荷しなくても良いだろうに・・・。

 足下で、カイトが走っている夢を見ている。何をやっても、可愛い犬だ。