子牛の引っ越し ロール集め

 我が家の経営は、まるで綱渡りだ。足りない部屋に、沢山の子牛が入っている。牧草収穫の合間にバイトに行ったり、市場当番に出かけて、ギリギリロールしたり、今日も、雨が降る直前に、全部のロールを集めることが出来た。

 足の甲がすごく痛い。歩くのに跛行するほどだ。市場に行く前に、モモカに思いっきり踏まれたのが原因らしい。今頃痛くなるなんて、俺の神経伝達速度が、遅くなってしまったのだろうか?それとも、引っ越し作業で本格的に痛めたのだろうか?
 市場から持ち帰った百三郎と雅次郎は、大子牛の部屋に入れた。美野里太郎と多恵次郎も、さんざん苦労しながら大子牛部屋に移動。足が痛くなったので、引っ越しはここで断念。
 牛の師匠に、『子牛には、サイレージではなく乾草だ!』と言われたので、牛舎にあった途中まで解したサイレージを、妊娠牛の簡易草架に入れてやった。おかげで、ロール運搬中、ゲートを開けっ放しにしても、誰も脱走しなかった。サイレージを食べるとき、親牛達は目の色も顔つきも変わってしまう。ちょっと近寄りがたいほどだ。

先に丸めて草地に置いてあった40ロールと、昨日丸めた37ロールの牧草を、乾草庫に運んだ。丸めてすぐは、熱を持つから倉庫に入れない方が良いというが、雨が降ると判っているとき、外に置いておくという判断は、俺には出来ない。昨日丸めるとき、結構よく乾いていたし、緩めに巻いたから大丈夫だと信じて集める。 
 年間を通じて取り出しやすいように、一応ない頭を使って考えながら積んでいく。