糞上の格闘技・堆肥撒き メロン出産「カリン」 

 水上の格闘技が競艇なら、堆肥撒きは糞上の格闘技だ!
 冬の間に溜まった堆肥を、我が家で一番緩傾斜の畑に散布した。土はよく乾いており、引っ張るのは100馬力のフォードで、条件としては申し分ない。だが、散布した堆肥はタイヤのグリップを無くすのだ。マヌアスプレッダーを引っ張って登れないし、下りでは押されるし、なかなかのスリルを味わえた。運古につぶされて死ぬのはゴメンだ!

 堆肥舎で堆肥を積んでいたら、メロン(平茂勝)が一次破水した状態で視界を横切っていった。
「ありゃま〜!」
 そのまま作業を終わらせてから、捕まえに行った。逃げるんだな!これが・・・。ちょっと早いが、全員牛舎に入れて捕まえた。発情観察して、関係ない牛は追い出す。
 マヌアスプレッダーを共同機械小屋に返しに行き、本格的に助産開始。二次破水しているのに、全然出てくる気配がないからだ。手を消毒して陰部に差し込む。
「メスだ!」
足が細いのだ。頭も正常位にあるのを確認し、産科チェーンを前足にかけて、体重をかけてゆっくり引いていく。骨盤の大きな雌で、頭が出たのに腰で引っかかってぶら下がっていた。でも元気で、逆さ釣り状態で頭を持ち上げていた。
 すぐにメロンを放してやり、子牛を舐めさせる。セレン製剤(白筋症予防)を注射し、臍の緒を消毒する。人工初乳を飲ませたら、あとは米ぬかを体にまぶしてさらに綺麗に舐めてもらう。
 夜牛舎作業をやりながら見ていたが、すぐに立ち上がり母の乳首に吸い付いた。元気な子だ!名前は「カリン」(福栄産子)にした。
 カリンを入れる部屋はないので、メロンを繋いだ周辺に敷きわらをいっぱい敷き、放しっぱなしにした。何度も何度も母乳を吸っている。あまり乳が出ていないと言うことだ。巨乳で乳量の多いメロンが、今回はそれほど乳が張っていなかった。ちょっと予定より早く生まれ、乳の準備が出来ていないのか?