深刻 脱走劇? レパートリー 

 昨夜の猛吹雪は、牛舎の隙間から大量の雪を吹き込み、発酵床を完全に冷たく湿らせてしまった。体にも積もってしまった2頭は、熱を出していた。
 幸四郎は3袋の人工初乳を飲み、発酵床と投光機で暖かく寝られたようだった。
 エサの調合をしていたら、最近増やしたサプリメント飼料が足りないことに気がつく。配達は明日だと言うことで、牛の師匠の所の借りに行った。師匠は、そのサプリメントを止めてしまったということで借りることは出来なかったが、いろいろ良いアドバイスを戴いた。
 妻からSOSの電話が入り、ハイラックスで救出に行く。曲がり損なって、前輪を落としてしまったそうだ。
 
 深刻な話しをしていたら、視界の端を沢山の黒毛和牛の群が通りすぎていった。そこは馬の放牧地のハズだ。雪で電気牧柵が埋まり、林間放牧地から迷い込んだものらしい。
 牛の群を一人で追うと、たいてい二手や三手に別れて逃げるので、それを1つにまとめるにはテクニックが必要だ。膝上までのラッセルをしながら、急斜面を追いかける。長ムチが良い働きをする。
 追い込んだ後、股までのラッセルをしながら、牧柵のケーブルを上げていく。
 
 娘は、天才に違いない。どんな親でも思うのだろうな〜。まだ2歳になっていないが、歌も沢山覚え、メロディーの中で自分が知っているところになったら、嬉しそうに断片的に歌っている。歌詞の意味も判らないだろうから、いい耳をしているのだろう。
 言葉も沢山話せるようになり、大人が話していて判る言葉が出てくると、すかさず会話に入ってくる。
「お座り!」
と言って俺の前に正座する。???と思っていると、ゴロウ達がお座りをして誉められているのを見て、真似しているらしい。頭を撫でて誉めると、嬉しそうだった。
 お前は人間なんだよ!