刈り取り ハメルンの・・・ 無礼者

 休日の仕事は、娘を誰が面倒見るか考えた上で決めなければならない。今日は、俺が背中に背負って、フォードで牧草刈り取りに行くことになった。燃料計の壊れているフォードは、仕事に入る前に燃料を入れておかないと大変な目に合う。燃料を入れている間に、子牛に水や牧草をやる。
 娘はトラクターが好きである。糞出しなどの作業では、降ろしてくれと騒ぐが、運転中はとりあえず乗っている。ひっくり返るほどの危機感を感じる所はないが、トラバース中にフォードが横ずれし、モアコンディショナーもずれて真後ろに来るような場所で、斜面の下方向に倒れ込まれるとかなりきつい。
 娘はそんなことを気にすることもなく、持参した団扇で俺の頭を叩いたり、撫でたり、話しかけたり、寝たり・・・。結構気ままである。腹が減って帰宅したとき、昼寝をしなかったところを見ると、ちゃんと休んでいるようだ。
 
 午後から刈り取りに行こうかと思って天気予報を見たら、各社一斉に雨マークを着けていた。急に娘を背負っていた疲れが出て、昼寝を決め込む。
 
 渇水の影響は深刻で、俺が掘った溜め池はほとんど全部干上がり、小さな溜まりにサンショウウオのオタマジャクシが集まっていた。妊娠牛は、森の中にある池に気がつかず、電気牧柵を破って育成牛の群れに合流してきた。風呂桶に水を入れて飲ませてやったが、18頭しか繋ぐ場所がないのに27頭も集まって困ってしまった。
 とりあえず、出産直前の牛と妊娠鑑定が取れていない牛、育成牛を繋ぎ、残りの牛は『ホイホイ』と呼びながら先導したら、12頭の妊娠牛達は1列に並んでみんなついてきた。何の苦労もなく複雑な経路をたどって元の放牧地に連れ帰り、森の中の池まで案内することが出来た。牧柵修理も簡単に済ませ、ちょっと得意だったのだが
「それくらい出来なければ、一人前の牛飼いじゃない。」
とバッサリ切り捨てられ、かなり凹む。
 
 このところ、大学の大先輩に2000文字程度の文章を書くようにメールが来たのだが、まだ返事さえしていない。知り合いの先生、古い外国の友人からのメールにも返事をすることが出来ないでいる。全く無礼者だ。