テッター 時には星を眺める

 朝牛舎は、健康管理だけ俺がやり、後は姫達に任せてテッターをかけに行く。中山の1カ所に、トラクター横転の可能性の高い場所があり、毎回緊張する。
 箸より重いものを持たない姫達は、お付きの爺やの止めるのも聞かず、牛舎の糞出しをしてくれた。疲労で、無言になってしまったという。それでも、俺がテッターをかけて帰ってきたら、豪華な昼飯を作って待っていてくれた。妻も大助かりだ。
 
 午後から、妻に連れられて姫達は買い物に行き、俺はテッターをかけた。いい匂いで乾いていく牧草の上に横になって休憩したら、そのまま眠ってしまった。結構、体が冷えていた。今年は乾燥がきつく、ブヨなどの発生が極端に少ないのがありがたい。
 
 夜牛舎はやってもらい、俺はチェックをするだけで良かった。ミカンが発情していた。
 
 豪華な食事の後、星空と漁り火を見るために、丘の上に登った。三日月・金星・木星夏の大三角形・さそり座の他に、漁り火が上空の水蒸気に反射して光の柱が見えているのを観察した。まるで理科の授業だ。久しぶりに、人工衛星も見えた。
 ふと脇を見ると、ポパイが来て挨拶してくれた。エサがもらえるわけでもないのに、客人を歓迎する気持ちを忘れないとはいい馬だ。今年は乗馬させてやるという去年の約束を守れなかった。