暖房の効かない車 ローズの引っ越し スズコ危機一髪

 俺の愛車、ハイラックス・ダブルキャブトラックは、昭和生まれのお年寄りで、既に26万㎞走っている。ゴミをポイ捨て出来ない性格の俺は、全部室内にゴミを溜め込んでしまい、人が座る場所がない程だ。荷台には、ゴロウとカイトが乗っている。
 最近、サビが目立ちはじめ、暖房が効かなくなった。俺一人が乗っているときには気にならなかったのだが、娘の送り迎えをしていると、水温計が上がっているのに、冷たい風が出てくるのは、さすがに気になる。冷却水不足では無さそうだから、どこかのバルブが詰まってしまったのだろうか?
 
 子牛が生まれても、入れる部屋がないことに気がついてしまった俺は、第2産室に入れてあったローズを、元の部屋に戻すことを決意した。そのためには、1年半も貯めっぱなしの敷きワラを撹拌し、EMボカシや米ぬかを混ぜ込まなければならない。ものすごい苦労をして、厚さ80cmほどのバイオベッドを復活させた。疲れた!
 
 ちょっと休み、子牛のチョッキを作るための膝掛け毛布を買ってから、娘を向かえに行く。
 
 晩飯後、夜牛舎に行き、まず全体を見て回るのだが、大子牛の部屋でスズコがひっくり返っていた。後ろ足にヘイネット(干し草を入れて食べさせる網)が絡まりついて、仰向けのまま動けなくなってしまったらしい。大型動物にとって、ガスが溜まってとても危険な状態である。急いで絡まったヘイネットを外したが、動けない。上向きの足を降ろしてやったり、頭を持ち上げてやったりしているうちに、ようやく立ち上がった。ヘイネットは、かなりの高さに結んであり、よほど飛び上がらないと絡まらないのだが、後ろ足を絡めるなんて初めてだ。
 鬱血したため、ちょっと後肢が腫れている。今度の市場には無理かな〜?やっぱり自家保留しろってこと