基礎工事 

 急いで牛舎作業をやり、朝から新築牛舎の南側基礎を作った。角材に、30cm幅に切ったコンパネを打ち付ける。16mの長さに2本作り、角材や番線などで、20cm幅で向かい合わせに作り、アンカーボルトで北側の基礎から10mのところに固定する。コンクリートドリルで穴を開け、短く切った鉄筋を打ち込んで、横ズレ防止にする。ワイヤーロープを数本束ねて、鉄筋代わりに、ワクに入れる。
 完成したワクの中を、ホースの水で洗い流してキレイにする。続いてコンクリート練りだ。今度のワクは、ユンボでコンクリートを流し込むには幅が狭いので、ミキサーで練ったコンクリートを、スコップですくって、ワクまで何往復も運ぶ作戦にした。セメント10袋(250kg)分のコンクリートで、南側基礎が完成した。
 おやつを食いながら、雨の予報だったが天気がもって良かったなどと話をしていたら、空模様が怪しくなってきた。後かたづけをして、引き上げる。やがて稲光がして、雨が降り出した。シートをかけた方がいいのだろうが、ない物は仕方ない。土砂降りではないから大丈夫だろう?
 夜牛舎をやりに出たが、白鳥座アンドロメダ座が確認できた。このまま晴れるのかと思ったら、時々ぱらついていた。蜜三郎を別室に移し、多恵太郎に最初の哺乳瓶体験だ。うずくまってジッとしているし、口に指をくわえさせても吸うそぶりを見せないので、苦労すると思ったのだが、乳首をくわえさせたら素直に飲んだ。数日先輩の和次郎も、オッパイをくれと迫ってきた。
「ン?どっちがどっちかわからなくなった!」
まだ耳票をつけていないし、同じ牛衣を着ているし、どちらも三角の舌先を出して着いてくる。事前に体重を測ってあったので、チビの方が多恵太郎とわかった。危ないところだった。