親諸子

 今日は、8月15日。全国的にはお盆だけど、硫黄島では柱松を立てて、両親が健在な男は釣りなどの漁に出て他の人より早く精進落としする。
 地区の役員から、ユンボの用意をするように要請されていたので、牧場はYumiに任せて行かせてもらった。
 いつもなら、そのまま柱松を作って立てるのだけど、今年は夕方の降水確率が高いからという理由で立てないことになった。なので、次の行事は親諸子だ。
 
 いつもなら、何の迷いも無く素潜り漁に行くのだけど、今年は鮫が怖くてあまり潜っていない。それに、海岸の水温が異常に高く、キビナゴの姿が見えないのも気になる。キビナゴがいないために、回遊魚も海岸線に寄っていないようだ。しかも、港には大きな魚が来ている。
 迷った末、カヌーを出して釣りをすることにした。親諸子釣り隊は、沖の根に連れて行ってもらえるようでそれはそれで魅力的だったけど、港に大物が入っているのは捨てがたい! 
 カヤックを出す準備をしていたら、俺が釣ろうと思っていたポイントに船が泊まってルアーを一斉に投げている。ちょっと焦ったりするのだけど、船が居なくなってからカヌーで駆けつけてみたら、エンジン音が気になっていたらしい魚たちは一斉にボイルしていた。
 大きな魚が水面で反転したところにルアーを投げたら、一投目で食ってきた!
 といっても、それほど大きなアタリでは無いんだ。ところが、リールを巻いていると突然猛烈な抵抗があって、ドラッグからラインが絞り出される。最初の控えめなアタリは何だったんだ?
 さんざんカヌーを引き回してようやく釣り上げたのは、80cmにちょっと足りないギンガメアジだった。
 一応、これで俺のノルマは達成できた。血抜きをして、岸に上がって漁協の冷蔵庫にしまい、もう一度出かける。
 すぐに次のアタリがあり、今度もでかい!
 その後も次々釣れるのだけど、大きいのはギンガメアジばかりで、カンパチはチビッコしか釣れない。だから、みんなリリースしてやった。