俺様カイト!

カイトは、俺が引き取ったとき、子犬の可愛さはあるけどポヨヨンとした頭の悪そうな顔をしていた。俺は、毎日話しかけ、頭が良くなるように彼の能力を呼び覚ます努力をし続けた。近くにゴロウという名犬がいて、いつも俺にほめられていたのを羨ましいと思っていたカイトは、やがてゴロウと同じ事をすれば褒められると理解した。カイトの顔が、精悍になってきたのは3歳を過ぎたあたりかな? ゴロウより褒められたい! と言うのが、彼の学習意欲をかき立てていた。
 9歳になった今、カイトは俺の前ではものすごく優秀な忠犬で、いつの俺の顔を見て俺が何を求めているか見逃さないように注意している。でも忠犬なのは俺に対してだけらしいということも解ってきた。軽バンに乗るとき、カイトは後ろの荷台に乗り、ピン太郎が助手席に乗ることになっている。ところが、俺がするにしていると、Yumiの顔色をうかがいながら助手席に座り、ピン太郎を追い落としているらしい。やるなぁ!