とりあえず、書類は完成させ、出航前に渡すことが出来た。K君も、鹿児島に出かけることになった。
 俺は、種付けとかあって、港にも行かず、仕事をしていた。
 春香太郎を、超早期母子分離した。キョトンとしていて、夕方になっても、あまり勢いよくはミルクを飲めなかった。のんびりした子だ。
 
 出産間近の赤9はるゆきと白47まさよに、牛温恵のセンサーを装着した。みんな、無事に産んでくれよ!
 
 去年の夏頃、我が牧場で産まれる子牛達が、皆虚弱で困っていた。原因は、セレン不足による白筋症しか思い浮かばなかったので、子牛にセレン製剤を注射したり、妊娠牛にはセレン入りの鉱塩を舐めさせるようにしたら、症状が軽くなったり、元気な子供が生まれるようになった。今月は出産ラッシュになっているけど、みんな元気で手がかからない。
 やはり、夏の虚弱児はセレンが原因だったと思うのだけど、それならなんで今まであまり問題にならなかったのだろうか? 俺は、北海道では当たり前の事として、セレン入りの鉱塩を使っていたけど、鹿児島に来てからは一度も見たことが無かった。だから、こちらではセレン不足が問題になることが無いのかと思っていたのだ。それが、去年になって立て続けに白筋症の疑いがある子牛が産まれ、虚弱で死なせてしまってビックリしている。とりあえず、対策を取って収まったようだけど・・・。