哺乳ロボット一期生卒業

 経済課の職員の人が、哺乳ロボットを見たいと言うことだったので、一緒に出勤した。三島村では、最初の哺乳ロボットだ。
 お隣の村で導入した際、下痢が多発して使用を控えていると言う話しも伝わっている。俺が、風邪や下痢の発生に神経をとがらせ、ミルクに生菌製剤を混ぜているのも、その予防の為だ。どんな機械でも、使う人によって良くも悪くもなる。俺は、哺乳ロボットを使ったことで、子牛が北海道で見慣れた体型になって、とても喜んでいる。
 今日、武蔵と小次郎の双子と、竜太郎、オリオンを燻煙、離乳した。
 武蔵小次郎は、電柱牛舎に引っ越しさせた。移動は、ロープを使わず、哺乳瓶で誘導しただけだ。20kgに満たない極小サイズだったこの双子は、すっかり大きくなった。先に生まれた制限哺乳のソノコより、全然大きく体幅もある。俺は、使ってよかったと思っている。

 今日は、レモンを超早期母子分離した。生まれるとき、母親を枠場に入れて、産科ロープで引っ張り出しただけあって、先に生まれたこはるよりでかい。それに、舌が曲がっているみよこより、ミルクを飲むのも上手だ。

 繁殖障害で、県に返還することになった赤18を、捕獲することにした。スタンチョンどころか、囲いの中にも入ろうとしないのだ。神経質な牛は、飼いにくい。三人がかりで包囲網を狭め、ようやく柵の中に追い込み、捕獲した。変換する日まで、小屋で大人しくして貰おう。