走行欲 テッター壊れる 残業



 走行欲というのを、ご存じだろうか?馬は、広い草原を見ると、走りたくなる生き物だ。
 北山のテッターをかけるために、馬の放牧地を横切っていくのだが、ゲートが開きっぱなしなのをポパイが発見した。始めは一頭だけだったので、遠慮気味だったが、全員出てきて走る走る!馬の群が草原を疾走する姿は、とても爽快で気持ちの良いものだ。残念ながら、疾走している写真はぶれてしまった。
 まだ刈り取っていない斜面の牧草も発見して、みんなでつまんでいたが、馬は伸びた草よりいつも食べて短くなった草の新芽が好きである。放って置いてもすぐに帰ってくるのだ。
 今日も寒かったが、ちょっと日が差した。風もおあつらえだ。テッターで飛ばす牧草も、カサカサという音に変わり、あまり強く跳ね飛ばすと、粉々になってしまうようになってきた。もう少しで乾きそうだ。
 四回目のテッターをかけている最中に、異変を感じた。何か震動がする。よく見たら、テッターのタイヤが、ハブごと無くなっていた。
 牧草地で、落とし物を探しても見つかる物ではない。テッターで乾草を飛ばして隠してしまうし、転がってしまって藪に入ったら見つけようがない。
 また金がかかる(ハブは高価なのだ)と暗い気持ちになりながら、一応探してみた。すると、ハブだけ落ちていた。発見できたのは、僥倖に恵まれたのだ。
 タイヤは無かった。機械屋さんに電話したが、注文は明日以降になる。雑品の在庫を頭の中で整理してみる。すごく頑張れば、何とかなりそうだ。
 と言う事で、すごく頑張った。子牛の脱走や、サトコの発情などのアクシデントもあったが、9時まで残業して、サビサビの雑品から部品をかき集め、一応明日誤魔化しながら作業できる状態にした。